大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和23(れ)1490 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人松井久市の上告趣旨は末尾添附別紙記載の通りでありこれに対する当裁判

所の判断は次ぎの如くである。

原審の認定した所によると被告人は不正の手段を以て入手した家庭物資配給通帳

を、宛も正式に得たものの様に装つて配給所の係員に提示し、該係員を欺罔して、

正式の通帳なくしては取得することの出来ない配給主食糧を交付させたのである。

配給主食糧は正式の通帳なくしては配給所の係員はこれを交付することは許されな

いものである。かかる物資を正式の通帳を所持する如く装い、これを受領すべき正

当の理由がないに拘はらず、配給所の係員を欺いて交付させ受領した以上、刑法第

二四六条第一項の詐欺罪が成立したものというに充分である。金銭的計算関係にお

いて自己が不当の利益を得、若しくは相手方が不当の損害を蒙ることは右第一項の

詐欺罪成立の要件ではない(配給物資は正規に割当てられた分量以外は受取ること

を許されないものである。これを欺罔手段によつて割当量以上に受領することは不

当の利益といい得ることも勿論である。)。論旨は理由がない

よつて刑事訴訟法施行法第二条旧刑事訴訟法第四四六条に従い主文の如く判決す

る。

以上は当小法廷裁判官全員一致の意見である

検察官 長谷川瀏関与

昭和二四年二月一五日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

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裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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